両親へのカミングアウト~何があっても母親に打ち明ける勇気は持てますか~

カウンセリングはそのまま続いた
母親の話もそのまま続いた

先生:「貴方はこれまで、母親に逆らった事は一度も無かった筈」
僕 :「た、たしかに…」
先生:「だから貴方は、母親に言われる通り、学校でたくさん勉強をした。社会に出て家業を継いだ。ゲイである事を母親にカミングアウトしなかった。パートナーを両親に紹介しなかった」
僕 :「…」
先生:「紹介すれば良かったのに。いいじゃない、ゲイだって良いじゃない。好きな人が男性だって良いじゃない。それで両親に嫌われたら、こっちから会わなければ良いじゃない。」

先生、ぼ、僕は…。
母親の涙を見たくなくて…。
母親の涙を見るのが耐え切れなくて…。

先生:「貴方はお母様から、愛されていると思っていない。だからお母様の事が信頼できない。ありのままの自分を出す事が出来ない。」
僕 :「…!」
先生:「お母様だけじゃない。本当の自分を出したら、両親が、兄弟姉妹が、親友が、同僚が、同級生が、みんな去って行くと思っている。だから本当の自分を出す事が出来ない。…もう、良い大人なんだから、独りで生きていく勇気を持ちなさい。誰かの脳髄に支配される生き方は止めなさい」

…そうだね。先生の言うとおりだよ。
今日母親に、父親に、また会いに行く。
会えば恐らく、色々な要求をされるだろう。
自分勝手な要求をしてくるだろう…子供の頃からされていた様に。

僕はもう大人なんだから
自分の人生なのだから
両親の意向は関係ない
母親が泣く事があっても、
それはそれで仕方がない

ゲイであることは止められない。

深呼吸を何度もして
体力が回復するのを待って
僕は広尾を後にして…両親の待つ神田へ、ゆっくりと進んだ