両親へのカミングアウト ~家族全員と離別する覚悟はありますか

 



根津神社の朱色の鳥居を眺めながら出社した
懐かしい出社風景、けれど心は鉛色で塗りつぶされたまま


何時もの様にタイムカードを通して、パソコンに電源を入れ、崩れるように自分の席に座る
今日の夜には両親に会わなくてはいけない
二回目のカミングアウトをしなければならない
行きたくない、体が動かない


幸いなことに、その前にカウンセリングを入れてあった
根津→広尾へ
商店街のスピーカーからは聖心女子大が運営するラジオが流れて…その華やいだ声が少しだけ、僕の孤独を癒してくれる


カウンセラー室に入る
挨拶もそこそこに、どうしても聞きたかった事を尋ねた


僕 :「先生、この件って、政治になりませんか」
先生:「政治とは?」
僕 :「つまり、家族が両親派と、僕派に割れると言う事です。両親がlgbtな僕を受け入れられなくて…僕を排除し、それで家族が割れるという事です。」
先生:「政治なんて詰まらないことは止めなさい。派閥を作るのは止めなさい。一人でも生きる覚悟を持ちなさい。」
僕 :「たった一人で、生きる…。」


兄弟は他人の始まり
けれど、僕には両親が居て、兄弟姉妹が居て…
それを全部棄てる覚悟を持てと言うのか…
カミングアウトとは、何て厳しい道のりなんだ…。


先生:「そんな事よりも、貴方の弟が指を折った時の覚悟を考えなさい。」
僕 :「…!」
先生:「貴方の弟が、婚約者を侮辱する父親に対して、両手の指を机に突き立てて、10本の指を折った、その覚悟を考えなさい。プロのピアニストがそこまでする、その意味は分かるよね?ピアニストとしての死を意味している筈だよ。胸が詰まるほどの怒りがそこには会った筈…。

 

その弟さんが、父親に殴りかかった時には、両親も兄弟姉妹も無かった筈。全部に決別して…たった一人で生きていく覚悟を持って居た筈。貴方は43歳で、仕事も住まいもあって、もう十分過ぎる位立派な大人。lgbtとして生を全うする覚悟を持ちなさい」


そうか、そうだよね。
僕は、今の今まで、弟の覚悟に、思いが至っていなかった…。


先生:「貴方に必要な覚悟は、母親殺しだよ」
僕 :「…!」


頭を殴られたような気持がした。
猛烈に気分が悪くて堪らなくなった。
そして2回目の嘔吐が訪れた

先生から教えて貰ったお護りを、以下に記載


 

僕は、今日、両親と会うのが怖くて、怖くて、逃げ出しそうだけど
そんな自分を 心から 完全に 受け入れます。